リクエスト企画今日から15

BLです。

ご注意ください。

朝、昇降口の前で潤君が怖い顔で立っていた。

その顔でなんとなくわかった。

あぁ、見つかっちゃったんだな、と

おはよ

おはよう

その後の言葉が出て来ないから

普通通りに接してみる。

なに?待っててくれたの?なーんて

もちろん待ってたよ?理由も分かってんだろ?

いつもより低めの声で静かに問われるのが

緊張感を増す。

なんだろうなー?分かんない

カズいけない事なのは分かってて開けさせて貰った。おまえの下駄箱

潔く言われる贖罪。

真っ直ぐな潤君らしい

えー、なんで?

昨日の今日だから、色心配してて

いつまでも惚ける俺に真っ向から真剣に接してくれる潤君に、もう観念するしかない。

ぅん

今日、だけじゃねぇよな?毎日か?

読まずに捨ててたよ

誤魔化しきれないと思って正直に答えた。

ハァ中身は確認してねーのか

ぅんはじめの頃は開けてたけど、いつも同じような感じだから、もぅ見たくなくて

怒ってる顔のままの潤君に気後れして

どんどん声が小さくなっていく。

そんな俺の様子に立派な眉を困ったように下げる潤君は、優しい声音でカズって呼んでくれる。

隠しててごめん

今日から帰りは1人で帰るなよ?俺が送るから

そんなっ大変だし良いよ

俺が心配なの!こんなの見たらさ

俺に差し出した手紙をグシャっと握り潰す潤君はまた顔を強張らせた。

なんて、書いてあったの?

アリスちゃんにいつ僕の気持ちが伝わるのかな?とか、気持ち悪い内容ばっか

相変わらずか

アリスは、そいつにならバレててもおかしくないかもな

毎朝、必ず下駄箱に入っている手紙。

俺の1日の行動を良く見ていて、一方的な思いを語っている内容で、誰が入れてるのかは未だに分からない

そっか

この事あの幼馴染は知ってんのかよ

知らないよ心配かけたくないし、今は特に大事な時期だから

まーくんには絶対に知られたくない

もし知ったらあいつは絶対に心配するし、自分のせいでとかまで考えちゃう奴だから

じゃあ、尚更心配かけない為にも何も無いように気をつけなきゃダメじゃね?

っでも俺、潤君に甘えてばっかり

痛いところを突かれてしまった。

でも、そんな事までして貰うのは悪いって気持ちが強くて当惑する。

それは気にするなょ友達だろ?

友達ってこんなに心配してくれる?

俺の考え過ぎかなでも

ぅん、お願いします

あと他に何もされたりしてないのか?

大丈夫ぶっちゃけさ、手紙だけだからイタズラかなってあんま考えないようにしてた

そっか、でも怖かったろ?

まぁ、ちょっと

ぷっおまえってそういうとこ天邪鬼

なっ、なんだよっもーー

囃し立てるように笑ってくれて

重たい空気が柔らかくなりホッとする。

でも、突然

カシャッ

近くでシャッター音が聞こえて驚く。

音がした方を見れば、風間って奴がカメラを構えて俺達に向けていた。

おい、何撮ってんだよ?!

一気に機嫌の悪くなった潤君は

風間に向かっていった。

あ、ごめんごめん。あまりにもお似合いだから思わずいい被写体だなって撮っちゃった

その写真、どうする気だよ?

んー?欲しいならあげるよ?

ふざけんなよおまえ!

潤君!

悪びれた様子もない風間に今にも殴りかかりそうな勢いの潤君を慌てて止める。

おー怖。分かった、ちゃんとこのデータは捨てるから

今寄越せや

え!それはちょっと

んだとっコラ

潤君ダメだって!

ちゃ、ちゃんと消しとくから!じゃね!

俺が夢中で大きな体を止めている隙に風間は逃げるように走って居なくなってしまった。

あのヤロー

もぉ、ダメだよあいつ殴ったら停学だよ?

俺の事守ってくれるんでしょ?

わりぃでもあいつ、調子乗ってんな

まぁね、でもほっとくよ。相手になんてしない

カズはそーゆーところ冷静だな

そぉ?捻くれてるだけだよ

全然冷静なんかじゃないよ

本当は俺

キーンコーンカーンコーン

おっはよーさーん!2人共チャイム鳴ってんで!

おー、おはよーすばる

俺らも行こ

チャイムと同時に慌てて入ってきたすばるに

つられるように走って教室へ向かった。

本当は

手紙やら風間の事は

不安でいっぱいだった

でも、今は何もない事を願うしかない。

潤君には言えないけど

どうしてもまーくんの練習試合を見に行きたかったから波風立てるような事はしたくない。

まーくんがやっとスタメン勝ち取ったんだ

いっぱい頑張ってたあいつを応援したい

そんな俺の気持ちを知ってか知らずか

また、新聞部の記事で放課後が騒ついた